【フィギュアの基礎知識】製造方法編

その他

フィギュアは素材だけでなく製造方法によっても品質やコストに大きく影響するため、製造方法はこれからフィギュアを集めようという者にはぜひ知っておいて欲しい知識だ。

1.製造方法の種類

① PVC(塩ビ)の射出成形(インジェクション成形)

✔ 製造方法

  • 粒状のPVCを加熱して溶かし、金型へ高圧で流し込む一般的な量産方法
  • ほぼすべての“完成品フィギュア”で採用

✔ 特徴

  • 量産しやすく同じ形を大量に作れる
  • 柔らかいため折れにくい
  • 塗装との相性も良い
  • コストが最も安く、一般流通の99%がこの製法

✔ 個体差

  • 気泡はほぼ出ない
  • パーティングライン(成形の継ぎ目)は残ることがある

② ABSの射出成形

✔ 製造方法

  • 硬質プラスチックABSをインジェクション成形
  • 台座・武器・メカ・鋭角パーツに多い

✔ 特徴

  • エッジがシャープで精密
  • 反りにくい
  • 加工はしにくいため、造形は単純な部分が多い

③ レジンキャスト(ポリウレタン樹脂)での圧力注型(ガレージキット)

✔ 製造方法

  • 液体レジンをシリコン型に流し込み、硬化させる方式
  • ワンフェスのガレキや限定高級品に多い
  • 少量生産向け(10〜100個程度)

✔ 特徴

  • 超精密な造形が可能
  • 立体解像度が最も高い
  • 重量があり質感も良い
  • 落とすと割れる

✔ 個体差

  • 気泡(ピンホール)が出やすく、研磨が必須
  • ひけ(収縮による凹み)が起きやすい

④ コールドキャスト(冷鋳)

✔ 製造方法

  • レジンに“微細な石粉”を混ぜて鋳造
  • 冷却固化させて作る、陶器のような質感の高級品

✔ 特徴

  • 重量感・質感がトップクラスの高級仕上げ
  • ディテールが非常に細かい
  • 少量生産向け(限定品が多い)

✔ デメリット

  • 脆い、落とすと割れる
  • 価格が高い

⑤ ソフビ(ソフトビニール)成形

✔ 製造方法

  • 加熱した塩ビを金型内に流し、回転させて内壁に付着させる
    →「ローテーション成形(中空成形)」

✔ 特徴

  • 中が空洞でとても軽い
  • 大型フィギュアでコスト抑制したいときに最適
  • 古くから怪獣ソフビで採用

✔ デメリット

  • ディテールは比較的甘い
  • 変形しやすい

⑥ 3Dプリント造形(原型 or 小ロット生産)

✔ 製造方法

  • 原型制作や限定生産で使用
  • 種類:光造形(SLA)、DLP、FDMなど

✔ 特徴

  • クリエイターが個人で原型を作りやすい
  • 細かい造形を高速で作成可能
  • 最近は原型の90%以上がデジタルスカルプト+3Dプリント

✔ 個体差

  • 積層跡が出るため、サフ(下地処理)で研磨が必要

⑦ ソフビ+レジンのハイブリッド成形

✔ 製造方法

  • 本体はソフビ、中身の細かいパーツはレジンキャスト
  • 特にサイズ大・重量軽減したい高級品で使われる

✔ 特徴

  • 大型・複雑な造形にも対応
  • 軽量+精密の両立

⑧ 布製パーツ・ABS骨格のドール構造

✔ 製造方法

  • 素体骨格はABS/POM樹脂
  • 表面は布製衣装
  • 1/3ドール(DD、ドルフィードリームなど)で主流

✔ 特徴

  • 表情可動や衣装交換が可能
  • 自由度が非常に高い
  • フィギュアとは分類が少し異なるが重要ジャンル

⑨ B-STYLE(1/4バニー)の網タイツ貼り付け工程

✔ 製造方法

  • PVC本体に、布製の網タイツを職人が手作業で貼る
  • FREEingの1/4バニーで採用

✔ 特徴

  • 他スケールと比較して“仕上げの手間”が桁違い
  • 価格が高く、中古でも値崩れしにくい

2.総括

上記の説明を表にすると大体以下の通り。価格が適正か、デコマスからどれだけ劣化するかなどの判断の目安に使える。

製造方法価格帯大量生産精細度個体差主な用途
PVC射出成形低〜中一般的な完成品
ABS射出成形◎(直線)台座、武器、メカ
レジンキャスト中〜高◎◎ガレキ、限定品
コールドキャスト×◎◎高級フィギュア
ソフビ成形低〜中大型・怪獣系
3Dプリント原型制作、小ロット
ハイブリッド中〜高大型・複雑造形
布+ABS骨格×ドール系
網タイツ手作業B-STYLE系
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